夜10時~翌朝2時のゴールデンタイムは嘘?
薄毛対策のみならず肌や健康といった様々な面で「夜10時から翌2時までの4時間がゴールデンタイム」と言われているのはご存知ですか?
この4時間は成長ホルモンの分泌や細胞分裂が活発化する時間帯とされ、ネット上はもちろん様々な情報誌などでも紹介され、それにならって当サイトでも同様の記述をしてきました。
しかし、2016年時点でこの説は勘違い、もしくは間違いだとする否定的な意見が散見され、2月7日に放送された「駆け込みドクター!運命を変える健康診断」でも女性医師である友利新さんによって改めて否定されています。
では、なぜ夜10時~翌2時までの時間が美容などに良い“ゴールデンタイム”とされてきたのでしょうか?そしてそれに代わる新常識は?
ゴールデンタイム説の理由は理想的な睡眠時間から
一般的に1日における理想の睡眠時間は7~8時間とされています。
しかし理想的な睡眠時間というのは睡眠の深さや質によって異なり、睡眠の質が高ければ5~6時間でも十分でしょうし、質が低ければ8時間を超える睡眠が必要となり、その平均として7~8時間という数字が出てきたと推測されます。
そして仕事をしている方やそれを送り出す主婦の方などが起床する時間の多くは朝6~7時である場合が多く、ここから逆算すると理想的な睡眠時間を確保するには夜10時~11時くらいには寝る必要があります。
一方、成長ホルモンや細胞分裂が活発になる時間帯はというと、これは本来“睡眠直後から3~4時間の間が成長ホルモンや細胞分裂が活発化する”というもの。
つまり、理想的な睡眠時間を確保できる10~11時に成長ホルモンが活性化する3時間を当てはめると「夜10時~翌2時」という時間が算出され、これが一人歩きして「ゴールデンタイム」と呼ばれるようになったという背景があります。
しかし近年はそういった見方の懐疑的な声が増え、また現実的に夜10時に寝る人は限られるため、“理想的な睡眠”は「何時に寝るか」「何時間寝るか」より「質の高い睡眠」に変わってきてます。
■理想の睡眠は「時間」から「質」に変わりつつある
髪の毛や肌にとって理想的な睡眠とは
髪の毛や肌など美容や健康にとって理想的な睡眠を取るにあたり最も重要になるのは入眠から3~4時間の間。ここでしっかり熟睡できるかどうかが鍵になります。
人間の睡眠というのは浅い眠りである「レム睡眠」と、深い眠りの「ノンレム睡眠」を90分周期で繰り返しているという特徴があります。
睡眠時間を7~8時間として、深い眠りであるノンレム睡眠は前半に集中する傾向にあります。そしてこのノンレム睡眠の時に脳下垂体から髪の毛を育てる成長ホルモンが分泌されるのです。
これがいわゆるゴールデンタイム。かつては夜10時~翌朝2時までの4時間がこれにあたるとされていましたが、現在はどんな時間帯においても入眠から3~4時間が重要といういうのが定説になってきています。
つまり、夜勤で働いている人は夜型の人が昼間に眠るような状況にあってもゴールデンタイムは十分確保できるということになります。
髪の毛や美容にとって理想の睡眠…それは入眠からノンレム睡眠をしっかりと確保できるだけの質を有する睡眠を取ることなのです。
眠れない場合はどうすればいいのか?
しっかり寝ることは髪の毛や美容のみならず健康面においても重要な要素ながら、誰しもがそれを実行できているわけではありません。
布団に入ってもなかなか寝付けない、睡眠が浅く頻繁に目が覚めるという人も多いのではないでしょうか。
「眠れなくても体を休めるために目を閉じ横になっていたほうが良い」と言われることもありますがこれは間違い。人は布団に入り寝よう寝ようとするとそれがプレッシャーや緊張に繋がり眠れなくなってしまうことが分かっており、眠り自体も浅く質の低い睡眠になってしまいます。
ですから、質の高い睡眠を取るには“眠くなったら寝る”というのが基本となり、眠くない・眠れないという時は無理に寝ようとせず、リラックスしながら本を読んだりし、眠くなってから寝ることを心がけましょう。
お酒を睡眠薬代わりに飲む方もいますが、可能であれば止めたいところ。確かにお酒を飲むと眠くなるのは事実であるものの、眠り自体は浅くなり睡眠途中で目が覚めてしまうなど質の低い睡眠になってしまうことが分かっています。
不眠を訴える人は男性に比べ女性の方が多く、近年の薄毛女性の増加は不眠が影響している可能性も否定できません。
では眠れない時は具体的にどうすればいいのか?
就寝の2時間前に入浴する
朝起きて夜寝るという標準的な生活を例にとると、人間の体というのは起床から夕方にかけて体温が上昇し、そこから徐々に体温が下がる性質があります。
多くの人が夜眠くなるのは、体の深部体温が下がると眠気を感じるようにできていることが大きな要因。
寝つきが悪い場合は入浴することで人為的に深部体温を上昇させ、体温が下がる2時間後くらいに布団に入ると眠りやすくなります。
この際に重要なのはシャワーではなく湯船に浸かるということ。お湯が熱すぎるとかえって覚醒作用が働いてしまうため、40度程度のぬるめのお湯に10~30分ほどしっかりと浸かるのがベスト。
ストレス・緊張の緩和
何か悩み事がある時って眠れないことが多くなりますよね。それは強いストレスから緊張や覚醒を司る交感神経が有意になってしまっているから。
生活の中には様々なストレスが存在するため、それを無くすというのは現実的ではありませんが、布団に入った後はストレスの原因になるような余計なことを考えないようにすることが重要。
就寝前にスマホやPCを使わない
スマホやPCの使用は覚醒を促すとされます。中でも問題視されているのがブルーライトです。
ブルーライトを間近で浴びると体が昼間と勘違いする、緊張や覚醒を促す交感神経が活発化するなど、不眠を引き起こすものとして認識されつつあるのです。
ついつい長時間使用してしまいがちなスマホやPCですが、寝つきが悪いと感じているのであれば就寝前の使用は控えるようにした方がいいでしょう。
医療機関の受診
不眠が長引くようであれば医師の判断を仰ぐべき。
睡眠導入剤(睡眠薬)は使いたくないと考える人も多いと思いますが、これらの薬は適正に使用すれば問題なることはありません。不眠が解消されないようであれば医師の判断のもと睡眠薬の使用も検討するべきでしょう。
また、夜間トイレで何度も起きることにより十分な睡眠がとれないという場合もあります。そういった場合も一度専門医に相談したほうがいいでしょう。
不眠にはうつ病などの疾患が隠れている場合もあります。眠れない、寝つきが悪い日々が続くようであれば一度病院を受診してみてください。
睡眠のゴールデンタイムのまとめ
髪の毛の成長にとって質が高い睡眠が必要であることは疑いようがなく、睡眠の質が低い状態が続くことで薄毛の要因になってしまうことも考えられます。
しかし、夜10時~翌朝2時までが睡眠のゴールデンタイムとする説は間違い。寝る時間にこだわる必要はなく、入眠から3~4時間の質が重要に。
しかしそうはいってもなかなか眠れないという女性が多いのも事実。
そういった場合に髪の毛に良い質の高い眠りを手に入れるには、「眠くなってから寝る」「寝酒は飲まない」を守り、理想を言えば夜のカフェイン摂取は控えたり寝る2~3時間前までにお風呂に入ったりするなどを実践しましょう。
睡眠時間自体は6時間以上あれば問題ないでしょう。
女性の健康や美容にとって睡眠は非常に重要な要素なので、髪の毛や肌、体調などに不安がある方は生活習慣や食生活と共に睡眠も見直してみてください。
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