気が付いたら側頭部や後頭部がハゲていた

多くの人が悩む男性型脱毛症（AGA）は生え際や頭頂部の髪の毛が薄くなることで知られていますが、では側頭部や後頭部が薄くなってきた場合はどんな原因が考えられ、またその治療法は？

男性の薄毛の9割はAGAとされ、横や後ろの髪は関係がないように感じます。

一般的に側頭部や後頭部の薄毛はAGAとは関係がなく一過性のものも多いので、治すことができる可能性は大きくなります。

とはいえ、髪の毛が薄くなればショックだと思いますので、原因を特定し治療に役立てて下さい。

側頭部や後頭部はAGAの影響を受けない

まずは側頭部や後頭部の薄毛が本当にAGAではないかを確認しましょう。

AGAは人によってある程度個人差はあれど一般的に上図のような進行をします。

最終段階においても横や後ろの髪の毛が残っていることが確認できると思われ、実際に街中に溢れるハゲきった男性を見ても同様の状態になっているはず。

これはAGAの原因であるジヒドロテストステロン（DHT）が影響する部分は生え際からつむじ周辺までに限定されるから。頭頂部から始まる人、生え際やM字部分から始まる人など個人差はあれど、進行が進むにつれこの形に落ち着きます。

つまり、これ以外の部分が薄くなっているのであれば、AGAである可能性は低いということになるのです。

側頭部や後頭部が薄毛になる原因

側頭部や後頭部の薄毛がAGAでないとしたら、一体どういった原因が考えられ、またどんな治療法があるのでしょうか？

■円形脱毛症

一般的にはストレスで発症すると思われがちな円形脱毛症ですが、実際は自己免疫疾患とされています。

自己免疫疾患は体の様々な場所で起きる可能性がある病で、本来体の防御機能である免疫が正常な細胞などを攻撃することで起き、アレルギー症状の一種なのではないかと考えられているほか、昔から語られるように過度なストレスも一因とされています。

多くの場合10円玉や500円玉程度の大きさの円形をしているものの、必ずしもきれいな円形・楕円形をしているわけではなく、特に複数できる場合は大きくいびつな形になってきます。

軽度なものであれば放っておいても半数以上は自然と治るものの、進行するようであれば皮膚科を受診し処方されるであろうステロイドやフロジン外用液などで治療するべきでしょう。

■炎症

頭皮に炎症が起こることでも脱毛してしまう可能性があります。

頭皮の炎症の原因は様々考えられ、代表的なものを挙げると…

• ■脂漏性皮膚炎
• ■接触性皮膚炎
• ■アレルギー性皮膚炎
• ■アトピー性皮膚炎

…などになります。

自分でできる対策としては頭皮を清潔に保つ、かきむしらないなどがありますが、髪の毛が抜けるほどの炎症であればすぐに皮膚科を受診し適切な治療を受けた方が良いでしょう。

■甲状腺機能低下症

可能性としては低いものの、何らかの原因によって起こる甲状腺ホルモンの分泌量が低下して起こる甲状腺機能低下症による薄毛の場合もあります。

これは倦怠感やだるさ、むくみ、便秘、皮膚の乾燥など全身に影響が及び、薄毛の症状が出る場合は側頭部や後頭部のみならず頭全体に起こる場合が多くなります。

これは圧倒的に女性が多い疾患ですが、男性においても薄毛と共に体の不調を感じるのであればすぐに内科や内分泌科を受診するべきでしょう。

■眼精疲労

長時間使用することも多いスマホやPCによって起こる眼精疲労も薄毛の原因になると言われています。

そのメカニズムは肩や首がこることによる血行不良やストレスが大きな要因とされていますが、統計などによってハッキリと証明されているものではないため、可能性はあまり高くないと考えます。

万が一眼精疲労が原因だとするならば、側頭部や後頭部のみならず生え際などにも薄毛が広がるはずなので、AGAではあまり考えられない頭皮全体の薄毛が確認され、かつPCやスマホを毎日長時間使っているというのであれば眼精疲労の可能性もなくはありません。

対策としてはスマホやPCを長時間使わないことがベストではあるものの、仕事などで使う場合も多いと思いますので、1時間毎に軽い体操をするなどこりをほぐし血液を循環する工夫をしてみて下さい。

AGAである可能性も

側頭部や後頭部の薄毛はAGAである可能性は低いものの、側頭部や後頭部と頭頂部、生え際の境界というのは曖昧で、状況によってはAGAである場合も。

頭頂部や生え際などに薄毛が見られないのに横や後ろだけ薄毛になっている場合はAGAの可能性を排除して構いませんが、もともと頭頂部や生え際が薄くなっていたという場合は要注意。

特に側頭部や後頭部の上の方であればAGAの可能性は高くなります。

頭皮に明らかな炎症がある、一部分だけぽっかりときれいに抜けている、頭頂部や前頭部より側頭部や後頭部の下の部分の方が明らかに薄い等であれば分かりやすいのですが、そうでない場合は判断に迷うところ。

AGAは男性の薄毛の大半を占めるだけに、頭頂部や前頭部も薄毛傾向にあり、かつ横や後ろの薄毛と繋がっているのであれば、まずはAGAを疑ってみたほうがいいかもしれません。

基本は皮膚科への受診

明らかに側頭部や後頭部の髪の毛が薄くなっている場合、まずは皮膚科を受診するのが基本になり、AGAにも精通している皮膚科であればなお良いでしょう。

すぐにでも病院に行くべき事案は頭皮に明らかな炎症がある、全身に不調がある場合になるでしょうか。AGAが原因でないものであれば、原因の病を治療することで薄毛のほとんどは解消されます。

一方で、円形脱毛症や眼精疲労による薄毛ではミノキシジル外用薬や育毛剤も効果を示すことから、とりあえず様子を見たい、炎症は見当たらないという場合はこれらを使いながら経過を観察する方法も。

ただ、もしAGAであったとするならば時間経過とともに進行し、それに伴って治療や改善も難しくなってしまうので、一刻も早い対策が必要になります。

どちらにしても何も対策をせず手をこまねいているのは得策ではないため、様子を見るなら副作用がなく刺激も少ない育毛剤などを使用し、明らかに異常を感じるならすぐに病院を受診するようにして下さい。

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