フィナデュタとミノキシジル 副作用が強いのは?

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気になる発毛剤の副作用

日本には様々な育毛剤が存在しますが、薄くなってしまった髪の毛を再び生やす効果がもっとも高いと感じる人が多いのはやはり医薬品の発毛剤です。

日本でもおなじみの「プロペシア」や「フィンペシア」に代表されるフィナステリドを用いたものや、ミノキシジル配合の外用薬「リアップX5」や内服薬の「ミノキシジルタブレット」、そして近年一気に注目を集め日本でも2016年に発毛剤として正式に発売された「ザガーロ」に使われるデュタステリドがあります。

これらは高い発毛効果があるものの、一方で副作用の問題も付いて回ります。それが理由でこれら発毛剤の使用に踏み切れない人もいるのではないでしょうか。

フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルの3つの発毛剤の具体的な副作用や、中でも副作用がより強いのはどれなのか?…など、徹底的に比較・検証してみたいと思います。

ミノキシジルで副作用が出るのは内服薬のみ

副作用の検証に入る前に、まず前提として知っておいて欲しいことがひとつ。

発毛剤にはフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルの3つがあり、フィナステリドとデュタステリドに関しては外用薬はほとんど存在せずほぼ内服薬のみで、当然副作用があります。

一部商品にはフィナステリドやデュタステリドが外用薬として使われていますが、それはごく少数であるためここでは除外し、この2つに関しては内服薬の副作用のみを取り上げます。

一方ミノキシジルはというと、日本でもっとも有名な発毛剤は外用薬である「リアップ」ですよね。しかしミノキシジルといえど外用薬は副作用がほとんどなく、内服薬に比べ効果が低くなってしまうという特徴が。

本気で発毛に取り組んでいる方の多くは、副作用は強いが効果も大きい内服薬のミノキシジルタブレットを用いていますので、ここでの比較はあくまでも内服薬のミノキシジルを対象にします

つまり、副作用の比較はフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルいずれも内服薬ということになります。

フィナステリド・デュタステリドの副作用はほぼ同じ?

3つの発毛剤のうち作用的にフィナステリドとデュタステリドはほぼ同じ。一方でミノキシジルはこの2つとはまったく違う作用により発毛させます。ゆえにフィナステリドとデュタステリドの副作用は似たものに。

まずフィナステリドとデュタステリドの効果を簡単に書いておきましょう。

代表的な男性ホルモンであるテストステロンと、5αリダクターゼという酵素が結びつくと、薄毛の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)が作り出されます。

フィナステリドとデュタステリドは5αリダクターゼの働きを阻害することでDHTの量を減らし、薄毛を改善させる薬になります。

この働きに関してはどちらも同じなのですが、5αリダクターゼには1型と2型が存在し、従来のフィナステリドは2型のみにしか効果がなかったのに対し、デュタステリドは1型、2型双方に阻害効果を発揮するのが特徴。

フィナステリドとデュタステリドの作用の違い

そのためデュタステリドはフィナステリドに比べ1.5倍の効果があるとされています。

しかし、薄毛の原因となるDHTは精液を作り出したり性欲を発生させたりするなど、男性らしさを作り出す重要な働きも。DHT生成を抑制するということは性機能に副作用が出てくることになり、デュタステリドは効果が高い分フィナステリドの比べより顕著に副作用が出やすいのではないかという懸念があるのです。

ちなみにフィナステリド、デュタステリド双方の副作用の特徴は…

  • 性欲減退
  • 勃起障害(ED)
  • 精液の質低下
  • 乳房障害(女性化乳房、乳房痛)
  • 肝機能障害

薄毛関連サイトの中にはDHTを「悪玉ホルモン」と紹介している場合もありますが、先ほども書いたように精液を作ったり性欲を強くしたり、また子供の生殖器の成長を促したりと大事な働きも持っており、決して存在が悪というわけではありません。

ただ、DHTは前立腺肥大や薄毛を引き起こす大きな要因となっていますので、大人の男性としては迷惑な面も多いのは事実ですが…

フィナステリドの副作用

フィナステリドとデュタステリドの特徴を踏まえた上で、これらの副作用について見ていきます。まずはフィナステリドから。

副作用の種類/頻度 頻度不明 1~5%未満 1%未満
過敏症 痒痒症、蕁麻疹、発疹、血管浮腫(口唇、舌、咽喉及び顔面腫脹を含む)
生殖器
性機能障害
睾丸痛、男性不妊症・精液の質低下(精子濃度減少、無精子症、精子運動性低下、精子形態異常等) リビドー減退 勃起機能不全、射精障害、精液量減少
肝機能 AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇
その他 乳房圧痛、乳房肥大、抑うつ症状、めまい

これは2005年に日本で認可・発売されたプロペシアの臨床試験から割り出された副作用の症状や発現率。最も頻度が高いものが1.1%のリビドー減退(性欲減退)、次いで勃起機能不全(0.7%)や射精障害(0.4%)などが続きます。

276名を対象にした臨床試験において確認された全体の副作用発現率は12例で4.3%。また、国内で414名を対象に行われた試験においての副作用発現率は、フィナステリド1mg群で6.5%、一方プラセボ(偽薬)群は2.2%。

偽薬を服用するプラセボ群にも副作用が発現している理由は「薬を飲んだ」という思い込みであることは想像に難くなく、フィナステリド1mg群にもそういったものが一定数含まれるとすれば、実質的な副作用発現率は5%程度と推測できる。

性機能障害の副作用が強いイメージがあるフィナステリドですが、実際の副作用発現率は低く、医師の間では安全な薬という位置付けになっています。

デュタステリドの副作用

次にデュタステリドの副作用について見ていきます。

フィナステリドより効果が高いだけに、副作用も強いと思われがちなデュタステリドですが、臨床試験においてそういったことは確認されていないのが興味深いところ。

ザガーロの副作用

これは2016年に発売されたザガーロ(デュタステリド0.1mg/0.5mg)の臨床試験データ。この試験では比較対象としてプラセボの他にフィナステリド1mgが使われています。

驚くべきは全体的な副作用発現率。本来副作用など出るはずもないプラセボ群ですら15%の人に有害事象が確認されており、プロペシアの試験では5%程度だったフィナステリドは20%。何やら色々と数字がおかしいことに。

そして注目すべきデュタステリドの副作用はというと、0.1mgが21%、0.5mgが16%。ここでもデュタステリドの用量が増えているのに副作用発現率は減るという逆転現象が起きています。

まあ、ある程度の誤差は仕方ないでしょうけどね。

とにかくやたらと高い数字が出ているデュタステリドの副作用ですが、プラセボで15%もの人に有害事象が出ている点を考えると正確な数字が出てくるのではないでしょうか。

つまり、この試験では発毛剤の副作用を過剰に意識する人が多いことを意味しており、各々の発毛剤からプラセボ分の15%を差し引くとちょうどいい感じになる。フィナステリドは20%→5%と、プロペシアのデータに近づくことからも一定の説得力はあるかと。

また、278名の男性に対しフィナステリド5mg、デュタステリド0.05mg、0.1mg、0.5mg、2.5mgの5つにプラセボを加えて使用した別の試験でも似たような結果が出ています。

そこでの副作用発現率はというと…

副作用発現率
プラセボ 24%
フィナステリド5mg 23%
デュタステリド0.05mg 15%
デュタステリド0.1mg 29%
デュタステリド0.5mg 15%
デュタステリド2.5mg 28%

この試験でのフィナステリドは発毛剤としての上限1mgの5倍となる5mgを使用しているため単純な比較はできませんが、デュタステリドに関しては波があるものの総じてプラセボと変わらない副作用発現率となっています。

発毛剤として使用するデュタステリドはほとんどの場合0.5mg。その用量は複数の試験において低い副作用発現率を示しており、巷で語られるようにフィナステリドより強いということもない。

デュタステリドはフィナステリドよりDHT濃度を減少させるため、単純に考えれば副作用も強くなりそうなものですが…少なくともデータ上においてはそういったことは確認されていないのです。

このことから、デュタステリドの副作用は世間で言われているほど恐ろしいものではないと結論付けます。

ミノキシジルの副作用は?

フィナステリドやデュタステリドは5αリダクターゼ阻害薬であるのに対し、ミノキシジルの作用は大きく異なります。

ミノキシジルは元々が高血圧患者向けの血管拡張薬でしたが、副作用に全身の毛が濃くなる「多毛症」があること、血管拡張作用によって頭皮の血の循環が良くなることなどから薄毛改善の効果が認められ発毛剤にも使われるようになったという経緯があります。

そのためミノキシジルを飲んで毛が生える理由は多毛症と血流改善によるもの。ただ、元が血圧を下げる薬であるため、それに関連し下記のような様々な副作用の恐れがあるのです。

  • 低血圧
  • めまい
  • 動悸
  • 頭痛
  • 体毛が濃くなる
  • 心臓への負担

ミノキシジルは血管を広げて血圧を下げる薬であるため、ハゲているという理由により健康な人が飲めば血圧低下による悪影響が懸念されます。血圧が下がった状態を改善させようと心臓が過剰に動き負担になる可能性も。

また、ミノキシジルが髪の毛を生やす作用は多毛症…つまり、髪の毛のみならず体毛など全身の毛が濃くなる点を忘れてはなりません。

一部ではミノキシジルを用いたAGA内服薬としての開発段階で犬を用いた動物実験を行い、その犬が心臓破裂で死亡したといった噂も。ただしこれは因果関係は不明。さすがに心臓破裂は考えづらいかと。

専門家はミノタブを使うべきではないという見解

血圧低下やめまいなどの副作用リスクがある一方で高い発毛効果を持つミノキシジルタブレットは、ハゲに悩む人たちの救世主ともいえる存在。しかしミノキシジルタブレットは厳密には発毛剤として認められていません。

ミノキシジルが発毛剤として認められているのは頭皮に塗布する外用薬のみ。内服薬は発毛剤としての効果や副作用を検証する臨床試験が行われておらず、これを発毛剤として認可している国は1つとして存在しない事実が。

つまりは副作用含め安全性が確認されていないことを意味しており、2017年に日本皮膚科学会が策定した男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインにおいて最低評価になっているのです。

ミノキシジルタブレットの危険性

血管拡張剤であることから血圧低下やめまい、動悸などの副作用があることは想像に難くありませんが、発毛剤として具体的な検証が行われていないため、どの程度危険があるのか分からないというのが実情。

このガイドラインでも試験が行われていない点を重要視し、安全性が確認されていないことから最低評価を与えているのです。…まあ、多くの人が使っている状況を見ればそれほど危険でないのも事実なのかもしれませんが…

「最強の発毛剤」の呼び声が高く、またフィナステリドやデュタステリドと違い女性にも使える唯一の発毛剤とあってミノキシジルタブレットは高い人気を誇っていますが、それなりの副作用があることを覚悟する必要があります。

3つの発毛剤でもっとも副作用が強いのは?

ここまで3つの発毛成分の副作用について書いてきましたがいかがでしたか?

前述したとおりデュタステリドはフィナステリドに比べ効果が大きい分副作用も強い可能性があります。しかし複数の臨床試験においてそういったことは確認されていません。

ただ、データ上ではフィナステリドもデュタステリドも副作用の程度に違いはほとんどないものの、デュタステリドがDHTをより強力に減少させる効果があるのは間違いない。常識的に考えればデュタステリドの方が副作用がありそうなもの。

となると、副作用がより強い発毛剤の争いはデュタステリドとミノキシジルタブレットに絞られるでしょうか。ただし、これらは薬の作用も副作用もまったく異なるため単純な比較ができないというのが本音でもあります。

とはいえ、デュタステリドはごく稀に肝機能障害の副作用が出る以外は性欲減退や勃起障害など性機能への影響なのに対し、ミノキシジルは人間の命を維持する上で極めて重要な血管に作用し心臓への負担も懸念されることから、怖いのはミノキシジルということになるでしょうか。

ただ、高血圧患者に使われるミノキシジルは1日の上限量が50mg(ミノタブの箱には上限100mgと書いている場合も)なのに対し、発毛剤としてのミノキシジルの上限量は10mgと5分の1以下。

それを守っていれば重篤な副作用が出る可能性は低いと言えるでしょう。

中にはより強い効果を求めて15mg、20mgとOD(オーバードーズ・過剰摂取)する人もいますが、危険なので絶対にやめてくださいね。

デュタステリドやミノキシジルは「発毛剤」と銘打っているものの、元は前立腺肥大症や高血圧の治療を目的として作られた薬ですから、100%安全なものでは決してありません。

場合によっては寿命を縮める可能性もありますので、副作用の心配がない育毛剤で効果が出るならそれを使うに越したことはないのかもしれません。

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