ハゲ治療の救世主? iPS細胞で毛包の作成に成功

iPS細胞で毛包作り出す

2016年に入り東京医科歯科大学の研究チームによる「17型コラーゲン」に関わる薄毛の原因解明、資生堂が進める再生医療など根本的な薄毛治療への期待が高まる報道が相次ぎましたが、4月に入り新たなニュースが。

それはあのSTAP細胞で世間を賑わせた理化学研究所などのグループが発表したもので、そこではiPS細胞を用いて毛を作る毛包を含む皮膚組織全体の再生に成功したというもの。

当然ながら髪も毛も毛包から作られるため、この研究が進めば将来我々ハゲの救世主となる可能性も考えられます。

では今回の理化学研究所などが発表した研究結果が具体的にどういったものなのか、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

理化学研究所が発表した皮膚全体の再生とは?

iPS細胞で作った毛包 今回の研究はマウスの体を用い培養した皮膚組織は天然の皮膚と同等の組織構造が形成され、毛包や皮脂腺などの皮膚付属器を持つ皮膚器官系が再生されたというもの。

これを別のマウスに移植した後観察したらしっかりと毛が生え、これはマウスの天然の体毛と同様に約20日間の毛周期で生え替わることが明らかとなり、機能的な毛包再生が可能であることが示されました…との事。

実際に理化学研究所の報道発表資料を見たものの素人にはちょっと難しい内容で、要約すると上記のようになります。

具体的な適用例

ではこの技術を人間にどう適用するのか?

男性の薄毛の9割を占める男性型脱毛症(AGA)は、毛乳頭内で男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)と男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)が結合し、脱毛因子を作り出すことで発症します。

しかしそれが見られるのは頭頂部や生え際のみで、後頭部や側頭部は脱毛因子を産出しません。どんなにハゲ散らかしても後頭部と側頭部がフサフサなのはこれが理由。

そこに着目し、後頭部の毛包を採取して培養、薄毛になってしまった部位に衣装することで半永久的な発毛が期待できるとのこと。

理研の毛髪再生技術

後頭部から毛包を採取し薄毛部分に移植するという点で現在行われている自毛植毛を連想させますが、この技術のすごいところは毛包を大量生産できるという点。

従来の自毛植毛は摂取した毛包をそのまま移植するという都合上、施術できる数には限りがありましたが、理研の毛髪再生技術は毛包を大量生産できるため、移植できる数に制限がありません。毛包100本の摂取で10,000本移植することも可能なのです。

現段階においてはマウスの体内で皮膚組織を培養しておりますが、人間に応用する場合は生体外移植が必要になるという点などいくつかクリアしなければならない問題があるものの、将来的には薄毛の治療にも使えるようになる可能性があります。

この研究の本来の目的は薄毛治療ではなく重度の火傷や外傷などの治療ですけどね…

■マウスの体内で培養した皮膚組織を他のマウスに移植し正常な機能が確認
■実用化にはもうしばらく時間がかかるか

理化学研究所のiPS細胞を用いた薄毛治療の費用

iPS細胞を用いた様々な再生医療は活発に研究され薄毛の治療はもちろん、別の分野からの応用も期待されています。

ただ、iPS細胞を用いた薄毛治療は1本100万円とも囁かれており、仮にiPS細胞を用いたハゲや薄毛の治療法が確立されたとしても、しばらくは高額すぎて利用できない状況も想定されます。

とはいえ今回の研究のように再生医療によって正常な機能を持った毛包を移植できるようになるとすれば、植毛のように後頭部から移植する必要がある上に「フサフサ」と言えるほどの復活は期待できないという現状を打破できるかもしれません。

もちろん現実的な値段になるまでのコスト削減が絶対条件ですが…

現状では2018年の実用化を目指している資生堂の再生医療が最も現実的と思われます。しかしこちらも資生堂の副社長が「少なくとも10万円以上」と語っており具体的にいくらかかるかは未知数と言わざるを得ません。

こういった新たな可能性が出るたびに感じる事ですが、自分が完全にハゲ散らかす前にどうにか世に出てきてくれる事を切に願います。

理研のiPS細胞技術による薄毛治療の進展

2016年ごろからiPS細胞を用いた毛髪再生治療が取りざたされるようになり、「早ければ2018年にも実用化できる」なんて噂も飛び交っていましたが、2018年現在実用化のメドはたっていないのが実情。

そんな中2018年6月に国立研究開発法人理化学研究所(理研)と株式会社オーガンテクノロジーズの毛髪再生治療が安全性を確かめる非臨床試験を行うと発表がありました。

ヒト再生毛包器官原基をマウスの背部皮下に移植し、毒性などを検査するとのこと。ここで安全性が確認できれば臨床研究へ移行するというスケジュールが示されています。

安全性を確かめる非臨床試験の実施が2018年7月。2018年中にはこの試験を完了する予定とされ、早ければ2020年にも実用化の可能性が出てきました。

臨床研究の開始時期と詳細については実施前に改めて公表するようなので、育毛剤で髪の毛をできる限り維持しつつ続報を待ちましょう。

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